今より遠くキミは来て
仲保です。
『コドポリーとレムレル』終演いたしました。ご来場くださいました皆様、今公演に関わってくださった皆様、本当にありがとうございました。
さて。
この物語は「ファンタジーだけどファンタジーではないファンタジー」です。
ファンタジー世界を背景にしているだけで、言っていることはいたって普通、現実味のある言葉達です。だからファンタジーではないです。人物のいる世界がファンタジーなだけです。だからその分だけファンタジーです。
……は?
もう少し世俗的テーマを押し出しても良かったのかなとも思いましたが、それはまた別のお話。
今作、「楽しかった」という感想をたくさんいただきました。
演劇祭に参加するにあたって、「演劇『祭』なら、『祭』なら、楽しんでもらえるようなやつをやろう」という意識がまずありました。その後で、それだけでは済まされなかったので重い想いの言葉を乗せたという感じです。
楽しんでいただけたなら良かったです。
前作は私の一部を4人に分けた人物を物語に落としましたが、今作では黒の彼と白の彼との2分割となりました。
私は愛を軽んじたくありません。愛についての問いは私にとって生涯にわたる哲学的命題です。言葉とは哲学であり、哲学とは愛と死を糧にして連綿と紡がれてきました、何千年とかけて。
黒の中にある白さと白の中にある黒さは、私に有り余る概念でした。二作目にして私のテーマである愛について語ってはみましたが、これからも違う物語でも(より世俗的な視点からも)吐き捨てていくと思います。
“私はいつまで演劇ができるのでしょうか?”
京都学生演劇祭に出たことは決して間違いではありませんでした。私自身がこれからも演劇をやっていくために必要な経験でした。
私は「すごい人」にはなりたくありません。私は天才でも秀才でもありません。褒められはします、ですがそれはそれだけ非凡という点で平凡です。
私は評価されるために言葉を書きたくありません。ほしいのは評価ではなく言葉です。僕の言葉を好きだと言う、何処にいるかも知らぬキミの為に言葉を書きたいのです。ただそれだけでいいのです。それだけのために、魂を削っていくのです。
私の過去となっていく今は、ずっと昔から未来へと伸びていたのです、言葉達へと姿を変えて。
というわけで、次回公演は己が本懐を知るための演劇実験です。お楽しみに。
“サイレンが鳴れば、演劇実験の時間です”
(仲保樹)
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